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2019年 豊洲市場の7月のうなぎの価格の予測(3)

 GD Freak!編集部
 2019.04.17

 豊洲市場におけるうなぎの卸売り価格と卸売数量の季節変動からわかること

それでは目を転じてさっそく、豊洲市場の近年におけるうなぎの卸売り価格とその数量の関係をみていきましょう。

   次のグラフは、2016年1月から2019年2月までのうなぎ卸売り価格のキロ単価(消費税を含む)の推移をしめしています。
   昨年のキロ単価は、1月が2年前とほぼ同じ水準であったにもかかわらず、シラスウナギの不漁がマスコミで報じられるに及んで高騰し、その高値水準はその1年後の今も続いています。
   また、その一方で6月頃に国産うなぎの売れ行き不振やうなぎ余りがでていることがマスコミでも報じられました。

 東京・豊洲のうなぎ卸売り価格の季節変動

   なぜ、そのようなことが起きたのでしょうか。需要と供給の調整役として働くはずの市場価格がやや硬直的であったことに一因がありそうです。

   次のグラフは、7月の豊洲市場のうなぎ卸売り価格とその取引数量の関係を図示したものです。取引数量が多いほどは安く、取引数量が少ないほど高いという関係があることを示しています。また同時に、それは安いほど取引数量も増え、高いほど取引数量も減少するという関係とも読み取れます。

   つまり、もし消費者のうなぎへの潜在需要がほぼ一定額だとすると、価格がある限度を超えて高騰すれば、うなぎ離れを起こし、取引数量も細ってしまうことを意味しています。

 豊洲市場の7月の卸売の数量と価格の関係(2009年~2018年)

 豊洲市場の7月の卸売の数量と価格のデータ(2009年~2018年)

卸売数量[t] 卸売価格[円/kg] 備考
2009年 50.6 2558 -
2010年 52.2 2577 -
2011年 44.5 3582 東日本大震災の影響による消費者マインドの後退
2012年 29.9 4548 東日本大震災の影響による不況
2013年 31.3 5247 -
2014年 38.1 4226 -
2015年 37.6 4471 -
2016年 43.4 4271 うなぎへの関心の高まり
2017年 40.9 3867 -
2018年 29.2 5610 シラスウナギ不漁のアナウンス効果が過大に影響

   つぎのグラフは、豊洲市場のうなぎの卸売数量の推移を示しています。2018年の卸売数量は、1~4月まではほぼ前年並みですが、国産うなぎ余りがマスコミで報じられた6月の販売数量は、前年等に比較して、かなり少なく、その傾向は秋過ぎまで続いています。供給余力が6月過ぎにまだあったのであれば、うなぎ卸売り価格の高騰が消費者心理を冷やしたものと考えられます。

 豊洲のうなぎ卸売数量の季節変動

   次のグラフは、過去10年間の豊洲市場での7月のうなぎの卸売取引額の推移を示しています。
   2009年と2010年はリーマンショック、2012年は東北大震災の影響から卸売取引額はやや低いのですが、他の年次については、ほぼ一定となっています。
   つまり、豊洲市場を介したうなぎの潜在需要はほぼ一定で推移してきたことが分かります。
   この水準が上昇していかない限り、価格の高騰は消費者のうなぎ離れを招くことになるでしょう。

 豊洲のうなぎ卸売数量の季節変動