2019年 豊洲市場の7月のうなぎの価格の予測(1)
GD Freak!編集部
2019.04.17
はじめに
今期もシラスウナギは不漁のようですが、昨年は、1~2月にシラスウナギの不漁が喧伝された一方で、意外なことに6月には国産うなぎの販売不振や国産うなぎ余りがマスコミで報じられる等、なにかと話題に登りました。
さて、今夏のうなぎの価格はどうなるのでしょうか。安くてうまいうなぎを食べたいという消費者(私だけかも)の切なる願いに、うなぎくんは応えてくれるのでしょうか。
GD Freakが2019年2月までのデータに基づき予測を試みましたところ、本年7月の東京・豊洲市場のうなぎ卸売り価格は、昨年より約1割程度安いキロ単価5000円から5200円前後となりそうです。はたしてどうなるでしょうか。
今夏の卸売り価格の予測を試みにあたり、まずは消費者のうなぎに対する需要の変化と将来動向を検討することが必要でしょう。
最初に、うなぎ需要が長期減少傾向にある中で、需要の高齢者依存と若者のうなぎ離れが同時に進展している様子を概観し、将来的に家庭で食されるうなぎ蒲焼の市場規模を中長期にわたって展望していきます。
次に、ここ10年ほどの豊洲市場のうなぎの卸売り価格と取引数量に着目し、両者には比較的強い相関があること、また卸売り価格にはリーマンショック後の消費者マインドの低下や、東日本大震災の影響が認められることを確認したうえで、今夏7月の豊洲市場におけるうなぎ卸売り価格を計量分析により予測いたします。
なお、分析には「家計調査」(総務省)と「市場統計情報」(東京都)を用いています。本文では2018年10月以前の市場データについては、都合上、築地市場を豊洲市場と見做しています。
うなぎ需要の高齢者依存と若者のうなぎ離れが進んでいる
うなぎの価格を予測するにあたり、そもそも、うなぎがどのような人に食されているかを把握することが重要になります。
そこで、みなさんの食卓にのぼる“うなぎの蒲焼”について、総務省の「家計調査」のデータを見てみましょう。
下のグラフは、1世帯当たりのうなぎ蒲焼の平均消費額の推移を示しています。
グラフからは、2018年は2005年に比べほぼ半分になるなど、長期にみると消費額は大幅に減少していることがわかります。しかし、2015年以降に着目すれば、やや回復の兆しもうかがえます。
1世帯当たり年間のうなぎの消費支出の推移
そこで、今後の消費動向を見通すには、この回復が一時的なものなのか、構造的なものなのかが重要なポイントとなります。
次のグラフは、2013年から2018年のうなぎの蒲焼の家計消費額の変化に、一世帯当たり消費支出額の変化と世帯数の変化という2つ要因が、どれだけ影響を与えたかを説明したものです。
このグラフからは、需要を下支えしているのが、世帯主年齢70歳以上の二人以上世帯、つまり、団塊の世代およびそれ以上の高齢世代であり、中年より若い世代についてはうなぎ離れがじわりと進行していることがみてとれます。
世帯類型によるうなぎ消費支出額の変動要因(2013~2018年)
それでは、家庭で食される“うなぎの蒲焼”の市場規模に占める高齢層のシェアはどれほどでしょうか。
GD Freakが2018年の「家計調査」による年齢層ごとの1世帯あたり消費支出額と世帯数から市場規模を推計すると、2018年の“うなぎの蒲焼”の市場規模は882億円(外食は含みません)となります。
そのうち、世帯主年齢が60歳以上の需要は次のグラフに示すように、約四分の三(76.2%)を占めています。
中でも、世帯主年齢が70歳以上の二人以上世帯が、全体の約4割(36.2%)をしめ、“うなぎの蒲焼”の高齢層への需要依存が顕著となっています。
2018年 うなぎの消費支出(882億円)の世帯類型構成
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